遺言執行のススメ

遺言に関する関心が高いのは最近では当たり前のようですが、遺言に関する法律は改正が多く、実務家でもきちんと把握できていない可能性があります。
例えば、遺言執行者に関する改正は実務に大きな影響を与えていると思われます。

重要な点で言うと、遺言執行者の権限が明記されたことがあります。
簡単に言えば「遺言執行者はここまでできるよ」とうことが明らかになったわけです。
例えば、
・「遺言執行者が任務を開始したときは、相続人に対して遅滞なく通知する旨」の新設
 →遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の内容を実現することができません。相続人からしてみれば早く手続きをしてほしいと思うでしょう。

・「相続させる旨の遺言」(=「特定財産承継遺言」)の実現の権限
 従来、「相続させる旨の遺言」があった場合、遺言執行者はその手続きをする権限がないとされてきました。それはその相続人が手続きをすれば済むから遺言執行者の出番がないという理由によります。
 しかし、昨今の法改正により、いわゆる「対抗要件主義」が特定財産承継遺言においても導入された結果、遺言執行者に遺言執行の実現の権限が与えられた、と言えます。
 もう少し簡単に言うと、例えば、相続人の一人に「ある不動産を相続させる」とあった場合、他の相続人が遺言書の存在を無視して(または存在を知らないで)法定相続人全員の名義で登記をしてしまうことがあります。この場合、以前は遺言書の内容が優先されて、法定相続分で登記した分は無効であったところ、改正後は、法定相続分を超える部分は対抗できない(つまり全部でなはく一部のみ)が主張できるということになりました。逆に言うと、遺言執行者がいち早く手続きをしないといけないということにもなるわけですが。。。

その他にも遺言執行者に関する改正はありますが、それはまた別の機会で。。。

司法書士・行政書士 相波聡明

コメント

タイトルとURLをコピーしました