公正証書遺言の照会について

今回のテーマは「公正証書遺言の照会について」です。

昨今、遺言書については自筆証書遺言の制度が変わったこともあり、自筆証書遺言の認知度も以前よりはアップしているかもしれません。
また、コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、日本人の死生観についても変容してきているのではと考えております。
先日の緊急事態宣言の発令に伴い、不要不急の外出が制限される中、ぜひ一度遺言書について検討してみてはいかがでしょうか?

まず、遺言書の書き方は大きくわけて2つであり、
自筆証書遺言
公正証書遺言
であることはもはや説明の必要もないかもしれません。

そこで、公正証書遺言の検索です。というと脈絡もないようですが、案外そんなことはありません。
相続の手続き中の方の場合、相続放棄を検討してるような場合は別として真っ先に検討すべき事項はこの手続きであると考えております。
なぜでしょうか?

答えは、その後の相続手続きの流れが遺言書の有無によって大きく異なるからです。

つまり、相続人が複数名いるような場合を例とすると、通常遺言書がなければ遺産分割協議が必須となります。
しかし、遺言書があれば遺産分割協議の手続き自体が不要となることがあるのです(もちろん遺言書の内容次第ですが。)。
例えば、被相続人(亡くなった人のこと)が父で、相続人が妻と子供2名の合計3名であったとします。
公正証書遺言で「妻に全財産を相続させる」とあれば、妻は子供2名の協力なしに各種相続手続きをすることができます。
また、子供と争いになっているような場合や、行方不明になっているような場合も遺言書があれば子供達の協力を得る必要がないのです。
この事例はよくある事例パターンですが、他にも前妻との間に子供がいる場合や、子供がいない場合の夫婦など、様々な場合にも遺言書は使い勝手がよいと言えます。
(もちろん、場合によっては遺留分侵害の可能性はあるわけですが。)

ここで本題の「公正証書遺言の検索」についてです。
・事前に公証役場に電話で予約を取ります(検索時点では全国どの公証役場でも構いません。)。
・窓口に行く際には次のものを用意します(詳細については予約の際に念のため、ご確認下さい。)。
・被相続人の戸籍謄本
・相続人とわかる戸籍謄抄本(相続人一人から検索できます。)
・相続人の印鑑証明書(行く人の分のみで構いません。)
・相続人の身分証明書(免許証など)
・相続人の実印(行く人)

→ここで注意すべきなのは「相続人とわかる戸籍謄抄本」です。
例えば、先の父が亡くなった事例であれば母が「自分の戸籍謄本」を取得すると、
父が「死亡により除籍」されていることが確認できます。この場合はこの1通で事足ります。
ただし、兄弟相続の場合などは、
「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」
「父母両名の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」
「兄弟姉妹の戸籍謄抄本」
までが必要になります。この場合は戸籍の量も結構な分量になりますので窓口に行くためには
ある程度時間がかかることになろうかと思います。
・公正証書遺言の検索は無料です。窓口で待っていればその場で有無についての書面を発行して
もらえます。
・公正証書遺言があった場合は、その作成した公証役場に赴く必要があります。この手続きは
窓口で確認するとよいでしょう(基本的には検索とほぼ同じです。)。
→仮に、検索した公証役場で作成していた場合は、担当公証人がいればその場で再発行してもらえるかもしれません。再発行には手数料がかかります。
→公証役場では、公証人が退職した場合は引継ぎが行われており、後任の公証人がいればその場での発行も可能かもしれません(ただし、原則予約が必要です。)。つまり発行した公証役場であったとしても担当公証人が不在や予約で埋まっている場合などは再度窓口に行かなければならない可能性があるということになります。

少し脱線しましたが、公正証書遺言は司法書士でも検索可能です。
手続についてご不明なことがありましたらご連絡ください。

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