―相続の手続について、専門家に相談してみませんか?―
と、いきなり宣伝のようで恐縮ですが、単なる宣伝ではありません。
実際に専門家に相談することで相続の手続きがスムーズにいくことがあるからです。
専門家に相談する意味とは?
相続の手続というのは、大切な方を亡くして心を痛めている方に、「落ち込んでいる暇を与えないために用意されている」と言われることもある位複雑で数も多く、手間と時間がかかるものです。
例えば、死亡届の提出(通常は葬儀屋さんが代行することが多いです。)に始まり、葬儀の手続き、社会保険、年金、保険、預貯金、株式、不動産、自動車、遺言書、納骨、貸金庫の解約など、遺産のみならずそれ以外の手続に関わるものまで正に多岐に渡ります。
もっとも、手続に慣れた方であれば順序良くこなしていくことも可能でしょう。
しかし、実際にお客様にお話をうかがうと、よくわからないうちに相続手続を終わらせている方も多くいらっしゃいます。
そこで、相続の専門家に相談してみることをお勧めするのです。
司法書士にできること
例えば、司法書士であれば相続手続の全般について道筋だけでも示すことができます。
大切な方が亡くなり、「何から手をつけてよいかわからない」といった方のお手伝いをすることができます。
例えば、あなたが以下のどれか一つにあてはまる場合、司法書士がお手伝いできるかもしれません。
「自分の手に負えそうもない」
「時間がない」
「何から手をつけてよいかわからない」
「書類の書き方がわからない」
「書類を集めるのが面倒だ」
「相続人に未成年者がいる」
「手書きの遺言書が見つかった」
「亡くなった方に借金があったようだ」
「専門家に頼みたい」
あなたはどれかに当てはまりますか?もし当てはまった場合はぜひ司法書士に相談してみてください。場合によっては手続の期限が決まっているものがあるかもしれません。
相談料は無料です。
なお、当事務所では相談料については無料とさせていただいております(しつこい営業もいたしませんし、ご依頼いただく場合は事前にお見積をいたします。)。
また、ご相談だけであっても、適切なアドバイス、サポートをさせていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
あなたのご負担が少しでも減るのであればそれが一番よいことではないでしょうか?
相続の手続
相続の手続でお困りではありませんか?
相続とは簡単に言えば「亡くなった方(被相続人と言います)の財産を相続人が引き継ぐこと」を言います。俗にいう遺産相続です。逆に「相続したくない場合」は相続放棄という方法もあります。
厳密にいえば他にも方法がありますが、大きくはこの二つに分かれます。
このページでは相続の手続についてご説明いたします。
不動産登記
ここでは相続による不動産登記について以下の流れでご説明いたします。
①不動産登記(相続登記)のススメ
②相続登記の流れ
③必要書類
不動産登記(相続登記)のススメ
遺産の中に不動産はありませんか?
不動産登記は、相続による名義変更の一つです。この手続を一言で言えば、「登記申請書を作り、添付書類(戸籍の束一式など)を集めて管轄の法務局に対して登記申請を行うこと」となります。
不動産は遺産の中でも比較的価値が高いので、その手続きは慎重に、そして速やかにされることをおススメいたします。
因みに、法律上、不動産登記申請を代理できるのは司法書士か弁護士のみです(因みに「表示」と呼ばれる分野は土地家屋調査士の業務範囲です。)。もしいずれでもない人に「代わりにやってあげるよ」と言われたら要注意です。
さて、
相続登記を「慎重に」「速やかに」行った方がよい理由とはなんでしょうか?
例えば、次のような事例を想定してみてください。
あなたは相続人の一人です。お父さんが残してくれた自宅の土地建物を、相続人の間での話し合い
(「遺産分割協議」と言います)の結果、あなたが一人で相続することになりました。
何度も何度も時間をかけ、やっとついた話し合いです。ですが、そこであなたは安心してしまいました。
「口約束でも契約は有効だというし、後から手続すれば問題ないだろう。」と考えたあなたは、なにも書面を作成しないまま、つまりは相続登記の手続をしないでおきました。
するとこの場合、どんな問題が起こると思いますか?
・不動産が自分の名義であることを主張できない!
→登記記録(登記簿)があなたの名前にならない限りあなたのものということが言えません。
・不動産の売却ができない!
→亡くなった方から買主への直接の名義変更はできません。一旦あなたの名義に変更する必要があります。名義変更には時間がかかりますので不動産を売却する予定がある場合は早めに手続きすることをおすすめいたします。
・書類に印鑑を押す前に相続人の一人の気分が変わった。
→この場合、印鑑(いわゆる実印)を押してもらわないと名義変更ができません。応じてもらえない場合、家庭裁判所での調停や訴訟になることもあります(結果として、あなたの単独名義にすることができないかもしれません。)。
また、相続人の中に認知症が進行してしまった方がいて、遺産分割協議書が作成できなくなることもあります(この場合は別途ご説明します成年後見制度の利用が必須になり、さらに時間と費用がかかります。また、成年後見制度は遺産分割協議のためだけに利用することができないため、原則としてその方が死亡するまでずっと続いていくことになります。)。
・名義変更しない間に相続人が死亡してしまった。
→その(死亡した人の)相続人の協力を求める必要が出てきます。その方に協力していただければまだよいのですが、書類の取得に余計な費用がかかるばかりか、もし協力していただけない場合は家庭裁判所の調停や、訴訟になることもあります。結果、あなたの単独名義にならない可能性もあります。
・知らない間に相続人全員名義での登記が完了していた。
→あなたの単独名義で登記するはずだったのに何故?と思われるでしょう。しかし、これは制度上できてしまうのです。最終的にあなたの単独名義にできればまだよいのですが、場合によっては難しいかもしれません。
いかがでしょうか?以上のような問題があなたにも起こるかもしれません。
また、相続登記は書類の収集に時間がかかります。
ですから相続が発生した場合は速やかに名義変更をしておくことをおススメするのです。
なお、余談ですが、相続による不動産の名義変更をしないまま放置するケースが、いわゆる「所有者土地不明問題」の原因の一つとされています。また、現在、相続登記を義務化するという検討もされているようです。近い将来、相続登記をしておかないと罰金がかかる時代が来るかもしれません。
当事務所にご相談いただいたお客様には、相続登記は速やかに行っていただくようアドバイスさせて頂いております。
もしご不安でしたら、ご相談ください。固定資産税の通知書などがご用意いただければより詳細なお見積をいたします。相談料は無料ですのでお気軽にご相談ください。
相続登記の流れ
ご相談の前に1つ確認していただきたいことがあります。
ズバリ、「遺言書があるかどうか」です。なぜかと言うと、遺言書がある場合とない場合では手続きが大きく異なってくるからです。
逆に、あったような気がするけど見つからない場合は事前にお伝えください。もし公正証書の遺言であれば当事務所があなたに代わって検索することも可能です。
では、遺言書がない場合の実際の手続の流れを以下ご説明いたします。
- STEP.01
- 相談
- (原則、面談とさせていただきます。出張も可能です。)
- STEP.02
- 相続人の確定
- (戸籍の収集)
- STEP.03
- 不動産の特定
- (登記簿の取得)
- STEP.04
- 遺産分割協議
- (相続人全員での話し合い)
- STEP.05
- 遺産分割協議書への署名・押印
- (実印を押印いただきます)
- STEP.06
- 登記申請
- (管轄の法務局へ申請します)
- STEP.07
- 完了後、登記識別情報
- (従来の権利書にあたります)を当事務所で受領・確認
- STEP.08登記完了書類のお渡し・費用の精算
言葉で説明すると以上のようになるのですが、実際には相談される前に相続人皆様の間での話し合いがついていることも多く、登記申請を残して大部分が完了していることも多々あります。
詳しい内容につきましてはご相談ください。
必要書類
相続登記の基本的な必要書類は以下のとおりです。
- 被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本
- 法定相続人の戸籍謄抄本
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
- 不動産を取得する相続人の住民票(本籍入り)または戸籍の附票
- 法定相続人の印鑑証明書
- 対象不動産がわかるもの(例 権利書、登記簿謄本、固定資産税の通知書など)
- 固定資産税評価証明書
- 遺産分割協議書
- 委任状
なかでも[1.被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本]の収集が最も手間と時間がかかることが多いです。
なお、ご依頼いただければ[法定相続人の印鑑証明書]以外は全て当事務所で代行して取得することができます。
また、事案により他の書類が必要になることもあります。
詳しくはお尋ねください。
預貯金の相続
遺産に預貯金がなかった!
というパターンはあまりないかと思います。
通常、日本人であれば誰しも一つは銀行や郵便局に口座を持っているかと思いますので、相続が起これば預貯金が無関係の人はあまりいないでしょう。
銀行と郵便局では少し異なりますが、手続きとしては共通する部分が多いため以下では主に銀行での手続きについてご説明いたします。
そもそも預(貯)金とは?
預貯金は、法律上は銀行に対する債権(預貯金をしている=銀行や郵便局に対して権利を持っている。)があるということですので、相続が起きた後は相続人から解約や名義変更をすることが可能です。
相続開始後にお金を下すことは?
ご存じのとおり、相続が発生し、銀行や郵便局がそのことを知ると口座は凍結されます。「キャッシュカードと暗証番号があれば下せるじゃないか」という話もありますが、銀行や郵便局が死亡の事実を知らない間は確かにできるかもしれません。ですが、以下の観点からあまりお勧めはいたしません。
・他の相続人から不信感を抱かれる可能性がある。
→後日の遺産分割協議(相続人同士での話し合い)に影響が出る可能性もあります。
→例えば、あなたの兄弟が勝手に預金を下ろしていたらどう思いますか?
・意図せずして横領になる可能性がある。
→ついそのまま自分で使ってしまうことは絶対にないと言えますか?
なお、昨今の法律改正により一定の条件のもとに預金の一部を下すことができるようになっています。
詳しい手続についてはご相談ください。
預金の解約手続の流れ
預金の解約手続は以下のような流れで進みます(戸籍の収集が別途必要です。)。
※銀行所定の用紙を使用することで、遺産分割協議書を作成しないで手続きすることも可能です。
- STEP.01
- 残高証明の請求
- 残高がいくらあるかを調べます。
口座がどこにあるかわからない場合は名寄せ(口座の有無を調べること)もできます。
- STEP.02
- 遺産分割協議
- 相続人全員で遺産の取得内容を決定します。
- STEP.03
- ※遺産分割協議書の作成
- 預貯金の取得内容を書面にします。
- STEP.04
- ※遺産分割協議書の署名・押印
- 遺産分割協議書に署名・押印してください。押す印鑑は実印です。また、印鑑証明書が必要になります。
- STEP.05
- 窓口又は郵送での手続
- 金融機関により対応が異なりますが、書面を提出または郵送します。
- STEP.06
預貯金の口座の解約 - 手続が終わると預貯金が指定した口座に振り込まれます。
預けた通帳・計算書類等が返却されます。
- STEP.06
いかがでしょうか?預貯金の解約の手続の流れを示すとこんな感じですが、パッと見ただけではわからない点として、時間がかかることが挙げられます。
あなたが銀行の窓口に行くことをイメージしてみてください。まずは予約を取ります。銀行の窓口で書類を出す際も、手続きに来た旨を伝える、本人確認される、署名・押印のチェックを受ける、コピーを取ってもらう、その場で内容を確認する、訂正箇所があれば印鑑を押しながら訂正する、など様々な作業があります。
ケースによっては数時間待たされることもあるかもしれません。また、書類が足りないということでもあれば最悪の場合は「日を改めてもう一度お越しください」と言われてしまうかもしれません。
また、例え一日仕事を休んでも、窓口が数か所あれば一日で回り切れないことも十分想定されます。
加えて、相続手続において必須と言って差し支えない「戸籍の収集」は上の流れの中に記載しておりませんが、これが実は一番大変なことが多いです。
→戸籍の収集についてはこちら
司法書士ができること
時間と手間がかかる預貯金の相続手続ですが、司法書士はあなたに代わって手続することができます。
この場合、あなたにとってのメリットは?
・戸籍等の収集も併せて依頼できる。
・銀行・郵便局に提出する書類も作成を代行してもらえる。
・遺産分割協議書も作成してもらえる。
では、デメリットは?
→費用についてはこちら
・司法書士に情報を知られてしまう。
→法律上、司法書士には守秘義務(=口外してはいけないこと)がありますのでご安心ください。そもそもこれがデメリットとなるかはわかりませんが、一応記載しました。
なお、当事務所では相談は無料で承っておりますのでお気軽にご相談ください。
遺産承継業務(司法書士による遺産承継業務)
遺産承継業務とは、簡単に言えば「司法書士が相続にかかる手続をあなたに代わってまとめてすること」です。
当然、司法書士としてできない部分もありますが、一番のメリットは複雑な手続きを司法書士に任せられることと言ってよいかと思います。
下に簡単ではありますが相続手続の比較のイメージをご用意いたしました。ご覧ください。
いかがでしょうか?実は相続税がかかるような場合はともかく、司法書士がかなりの範囲でお手伝いできることがお分かりいただけると思います。
以下、具体的に司法書士ができること・できないこと・報酬についてまとめてみました。
司法書士ができること。
以下は全て司法書士が代行できます。
司法書士ができないこと。
以下は「司法書士としては」代行できません。
報酬・費用について
業界あるあるのような話ですが、まずは下の図をご覧ください。
銀行・信託銀行では相続の手続を代行していることがあります。
→いかがでしょうか?
「銀行の手数料100万円~」が重たく乗っかっているように見えませんか?実は銀行が扱っている商品と司法書士が扱っている分野はほとんど一緒です。
ですが、実は、銀行は登記や税務申告といった部分は自分では処理できないため、別途専門家を紹介して、その専門家に対する報酬は銀行の報酬とは別にかかってくるのが一般的なのです。
つまり、銀行・信託銀行の報酬は丸々自分で受け取る金額です。いずれにせよ通常は「最低100万円~」ですから、もしご利用をお考えの方は慎重に検討し、担当者の話をじっくり聞いて十分納得してから契約することをおススメします。
・当事務所の費用について
また、他の事務所では「財産額に応じて一律何%」となっている報酬もありますが、当事務所では手続の複雑さ・件数に応じての報酬となっています(複雑でなければ約20万円と実費の合計額になります。)。
報酬というのは業務に対しての対価です。一律何%に根拠があるのかよくわかりませんが、確かに計算はしやすいかもしれません。
その点、当事務所の報酬は少しわかりにくいかもしれません。
ですがご安心ください。見積は無料でいたします。ご不安であれば事前にご相談ください。
相続放棄
ここでは、相続放棄についてご説明いたします。まず相続放棄について簡単にご説明し、次に事案ごとにご説明し、最後に手続の流れについてご説明する、という構成となっています。
目次
1.相続放棄について
2.相続放棄の事案
①子・配偶者が相続放棄する場合
②兄弟姉妹が相続放棄する場合
③期間超過後に相続放棄する場合
3.相続放棄の手続きの流れ
4.費用
相続放棄について
相続放棄というのは他の相続の手続とは性質が異なります。
つまり、「相続=遺産を引き継ぐ」に対し、「相続放棄=遺産を引き継がない」という手続だからです。
そして、
①相続放棄ができる期間が非常に短い
②相続放棄が認められなくなってしまうことがある
という2つが大きなポイントになります。以下、説明いたします。
①(相続放棄が)申し立てできる期間が非常に短い
相続放棄ができるのは被相続人(亡くなった方のことです)が死亡した日から3か月以内とされています。正確には、被相続人が死亡したことを知ったときから3か月以内、ですが、通常は死亡したのを知るのは当日かその次の日くらいでしょうから、ここでは死亡した日から3か月以内と書かせていただきます。
さて、3か月というのは短いと書きましたが、あなたは長いと思われましたか?
人が亡くなると、死亡届(通常は葬儀屋さんが代行します。)、葬儀、遺産の整理、納骨、四十九日、各役所での手続きなど、思いつくだけでもかなりの手続きがあります。時間はあっという間に経過していきます。
そして相続放棄は、家庭裁判所に申述書(相続放棄の申請書のことです)を提出して行いますが、ここでも被相続人の戸籍や相続人の戸籍などを提出する必要があります。
また、被相続人が遠方に住んでいた場合などは借金など負の遺産を調査する時間がなかなか取れないこともあるでしょう。
そう、「気が付いたら3か月経過していた」というのは割とよくある話なのです。ドラマなどでは出てきますが、3か月が経過した頃に債権者が突如現れ、督促をして来るという事例も実際にあるそうです。
被相続人が借金を負っていることが事前にわかっていれば準備もできるかと思いますが、残念ながら被相続人が生きている内に借金をしているかどうかは例え妻や子供であっても債権者は教えてくれません。
②単純承認してしまうと(相続放棄が)認められない
また、相続の手続きには「単純承認」というものがあります。簡単に言うと、遺産を処分してしまうことです。
例えば、預貯金を解約して受け取ってしまったり、被相続人の借金を遺産で返済してしまったり、などが当てはまります。
相続人自身が知らない間にやってしまうことも多く、原則として取消ができません。その結果、相続放棄が認められないということが起こります。
判例などを見ると単純承認であっても相続放棄を認めた事例がありますが、例外と考えるべきだと思います(借金を返してもらった側からみれば返済がなかったことになるのは困りますね。)。
つまり、対応策としては、「相続の手続は慎重に進めるしかない」ということになるのですが、特に慎重に進めるべきケースは、被相続人の生前の生活を把握できていないような場合です。
督促状があった、クレジット会社の封筒が山積みされていた、別居していた、そんな場合は要注意でしょう。
因みに、相続放棄は3か月を経過した場合でも認められる可能性があります。被相続人が死亡したことをそもそも知らない場合や、(単純承認していない状態で)後から借金の存在を知った場合などです。
この辺りの判断になりますと、ご自身で相続放棄の申述をするのはリスクが高くなってきます。裁判所に提出する書類の不備があって、もし相続放棄が認められない場合、借金をそのまま相続してしまうことになるからです。
相続放棄を検討している方は、3か月を経過する前でも後でもできるだけ早めにご相談ください。相談について早すぎることはありません。
相続放棄の事案
①子・配偶者が相続放棄する場合
実務上最も多い事例です。例えば、父が亡くなり、母と子供が相続放棄するパターンです。
生前に財産関係もある程度把握されていることが多く、必要書類もそれほど多くないため手続きとしては他の2つに比べ難易度は低いです。
ですが、(家族に隠した)借金があったり、保証人になっていたり、ということもあるかもしれません。また別居していたような場合も財産関係の把握に時間や手間がかかるかもしれません。
②兄弟姉妹が相続放棄する場合
被相続人に配偶者や子供がいない場合、両親が相続人になるのですが、両親が先に死亡している場合は兄弟姉妹が相続人ということになります。
この場合は、少し複雑です。
まず、兄弟で財産関係を把握しているパターンは割合としては多くありません。
また、①と比べて戸籍の収集量が増えます。 →詳しくはこちら
つまり、①と同じ「3か月」であっても時間が足りなくなる可能性があるのです。
自身の手に負えないと思ったら速やかに専門家に相談することをおススメいたします。
③期間超過後に相続放棄する場合
「3か月を超過してから相続放棄したい」というケースがあります。
例えば、
・腹違いの兄弟がいる(その存在を死亡した後に知った場合)
・被相続人が死亡したことを知らなかった。
・被相続人が死亡したことは知っていたが、借金があることを知らなかった。
いずれかに思い当たる節はありませんか?
原則として3か月を超えた場合は相続放棄できない、と紹介しましたが、例外があるというのはこのような場面なのです。
当然、例外なので手続はより複雑になりますし、相続放棄が認められない可能性も高くなります。
司法書士としては事情をうかがいながら相続放棄が認められるポイントを探していくことになるわけですが、当然個別の事案により対処も変わります。
最悪、相続放棄が認められない可能性もありますので、3か月を超過しているケースでは速やかに専門家である弁護士または司法書士に相談されることをおススメします。3か月を超過しそうな場合、3か月を超過している場合のいずれもできるだけ速やかに対処した方がよいことは変わりません。
相続放棄の手続きの流れ
相続放棄の手続は、通常以下の流れで進みます。
※中でも戸籍の収集に比較的時間がかかります。特に兄弟姉妹の場合は収集する戸籍の量が増えますので時間と費用に余裕をみる必要があります。
相続放棄の手続きの流れ
- STEP.01
- 相談
- 相談は無料です。
- STEP.02
- 戸籍の収集
- 必要な戸籍を全て取り寄せます。→時間がかかります。
- STEP.03
- 相続放棄申述書の作成
- 相続放棄する方ごとに作成します。
- STEP.04
- 家庭裁判所への書類提出(申述)
- 管轄の家庭裁判所に書類一式を提出します。
- STEP.05
- 照会書への回答
- 家庭裁判所より相続人宛に質問の手紙が来ます。期限内に回答します。
- STEP.06
- 受理通知書の交付
- 相続放棄が完了すると家庭裁判所から送られてきます。
- STEP.07(親戚(次の相続人)への通知)・(債権者への通知)
- 事案により対処が変わります。
費用
費用はわかりやすさを重視して3つご用意いたしました。
詳しくはこちらへ
その他
その他、以下の相続手続についてまとめてみました。必要に応じてご参照ください。
中でも⑴の制度がおススメです。相続手続きを少し(?)ラクにしてくれます。
⑴「三方よし!」の法定相続情報証明制度
⑵「遺言執行者って何するの?」→遺言執行について
⑶「相続でも相続放棄でもない手続」=限定承認制度
法定相続情報証明制度
「三方よし」の使い勝手がよい制度をご紹介します。
相続の手続を少し(かなり?)ラクにしてくれる制度をご存じですか?
相続の手続の中で必ず必要とされるものに「戸籍の束」というものがあります。簡単に言うと、
「被相続人の出生から死亡に至るまでの連続した戸籍・法定相続人全員の戸籍」
ということなのですが、その収集がもっとも大変という声はよく聞きます(実際に大変です。)。
この「法定相続情報証明制度」は、簡単に言えば「戸籍の束」=「一枚の証明書」にしてくれる制度です。
使い勝手は抜群ですが、残念ながらまだあまり認知されていないようです。
さっそくメリット・デメリットを比較してみましょう。
一言で言えば「時短」です。
・戸籍の束一式を読まなくてよい=相続手続の際、窓口での審査が紙一枚になる=時短
→一般に相続手続で求められる「①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と
②法定相続人全員の戸籍謄本」をA4一枚で代用できます。
→書類を見る側にとってもありがたいそうです(実話です。)。
→余談ですが、戸籍の束と両方持っていくと、「法定相続情報証明にしてください」と
よく言われます。
・コピーの手間が減る=窓口でのメリット=時短
→コピー用紙が減るので、時短に加えて保管場所が少なくて済むメリットもあります。
・証明書自体の発行は無料(法務局が必要に応じ何枚でも発行してくれます。)
・一度は「戸籍の束」を集める必要がある。
→司法書士に依頼すれば解決!
・法務局に対して申請する必要がある。
→司法書士に依頼すれば解決!
・被相続人・相続人が日本人の場合しか使えない。
→あくまでも「戸籍の束」の代わりの制度だからです。相続人の中で帰化して外国人となった方がいらっしゃる場合は残念ながら利用できません。
司法書士に「法定相続情報証明制度を利用したいのですが」と言えば応じてくれることでしょう。最後にポイントを1つ。
この便利な制度は、相続の早い段階で取得するともっともメリットを活かせます。
ぜひ活用してみてください。まさに「三法よし」です。
遺言執行
「遺言執行者って何するの?」
ズバリ、遺言執行とは「遺言書の内容を実現する手続」のことです。
例えば、
・「不動産を相続させる」という遺言→その方への名義変更をする。
・「預金を相続させる」という遺言→その方への名義変更や解約をする。
ということになります。
遺言書の中で「遺言執行者」を定めている場合はその方が手続を行います。
ですが、実際、遺言執行者になっても、
・遺言執行の手続きがよくわからない!
・時間がない!
そういった方は司法書士に依頼することもできます。詳しくはご相談ください。
限定承認制度
相続について、単純承認・相続放棄というお話をいたしました。
この2つの制度について、誤解を恐れず言えば
「単純承認=プラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐ手続」
「相続放棄=全ての財産を引き継がない手続」
と言えるでしょう。
限定承認は言ってみれば両者の中間の手続です。
「全ての遺産を相続するが、マイナスについてはプラスの範囲で支払う」というイメージがわかりやすいでしょうか?
しかし、「いいとこどり」とはいかず、実務上もあまり活用されていないようです。おそらく扱っている事務所自体が少ないと思います。
実際、税金の問題や期限の問題があり、単純承認や相続放棄と比べると、複雑な制度ですので、詳しくはご相談ください。
もしこの制度を利用する場合、期限が決まっているため速やかに対処する必要があります。